フルラップ前面衝突+運転席ダミー①

この解析ではCCSA様(https://www.ccsa.gmu.edu/)が無償配布している同定済みのMY2015 Camryモデルを使用します。

モデルがアップデートされ、シートが搭載されたためダミーを搭載することができるようになりました。

YouTubeでFMVSS208の試験動画を確認することができ、大変よく同定されていることがわかります。

今回のモデルではLSTC製ダミー(HybridⅢ AM50)を乗車させて挙動を確認してみましょう。

解析条件はFMVSS208に則っています。

 

このモデルでは、簡易的な設定のみでダミーを搭載しているため、実車とは違う結果になっていることをご了承ください。

  • エアバッグ:
    大きさやマスフローレートは見込み値で作成し、ベントはありません。実車よりも少し小さめになっています。折りたたんでハウジングに収めてみましたが、小さいエアバッグの割にハウジングに収めるとギリギリの大きさでした。折りたたみ方だけでも展開速度やスペース効率が変わるため、非常に高度なノウハウが詰まっていることがわかります。
  • シートベルト:
    ベルトアンカーのデータが無く、詳細な位置がわからないことや、シートの樹脂トリムが無いため、ベルトパスはやや不自然になっています。
    また、プリテンショナーやフォースリミッターは無く、スリップリングのみ設定されたシンプルなシートベルトです。
  • ステアリングコラム:
    衝撃を受けると少しだけ軸平行に移動するようになっています。実車では衝撃吸収機構があるためもっと前方へ移動すると考えられますが、今回のモデルは実車よりも移動量が少なそうに見える状態です。

 

今回の結果をYouTubeで確認できる結果と比較してみると、車両挙動はとてもよく合致していますが、ダミーの挙動が大きく違うことが確認できます。

しかし、簡易的な設定の解析結果でも、シートベルトで乗員を拘束し、エアバッグが拘束の補助をしていることがよくわかります。

エアバッグは遊園地で配られているバルーンのようで可愛いですね。しかしこれはベントが無いため収縮できず膨らんだままになってしまっています。それにより、ダミーを押し返す挙動になってしまっていることがわかります。

 

この解析から、自動車メーカーで設計された乗員保護装置は、なんとなく設計されたものとは大きく違い、非常に高度な設計がなされていることが理解できる結果になりました。

 

その他のサンプルでは、荷物が固定されていなかったら?他の衝突形態は?車以外では?など、様々なサンプルを追加していく予定です。

また、最適化による衝突性能アップ事例(サイドメンバー、クラッシュボックス、バンパーレインフォースなど)も追加予定です。

弊社では自動車メーカーから、各国の法規評価(FMVSS,UNR…)、各国NCAP評価などを受託しています。お気軽にお問い合わせください。