ポール前面衝突 100km/h

~ スピードは控えめに ~

この解析ではCCSA様(https://www.ccsa.gmu.edu/)が無償配布している同定済みのMY2015 Camryモデルを使用します。ダミーは引き続きLSTC製のHybridⅢ AM50です。

今回のモデルでは「衝突解析事例①」から以下の内容を変更しています。

  • 衝突するバリアを剛体ポール(φ254)に変更
  • 速度を100km/h (!!!) に変更

当たり前ですが該当する法規やアセスメントはありません。

このモデルでは、簡易的な設定のみでダミーを搭載しているため、実車とは違う結果になることをご了承ください。

リジッドバリアで同定されたモデルのため、想定していない衝突形態であり、エアバッグ、シートベルト、ステアリングコラムは簡易的なものです。

 

明らかに想定外の速度(100km/h)で電信柱にぶつかったところです。

バリアが小さいことと、初期の運動エネルギーがあまりに高いため、ほとんど減速することなくダッシュパネルが侵入してくる結果になっています。キャビンが大きく変形することで乗員の生存空間はどんどんなくなっていき、シートベルトもエアバッグももはや存在意義を感じないレベルの潰れ方になってしまいます。

この解析モデルでは、想定していない速度での衝突のため、コンタクトの貫入などうまく計算できていない部分が多数見られました。LS-Dyna等の動的非線形解析では、有り得ない挙動でもNormal Terminationとなり計算が完了してしまうことがしばしば見られます。

接触計算の不良やエネルギー収支の不整合など、細かく結果をレビューして改善する必要があり、エンジニアの腕の見せ所となります。

 

今回の結果では、スピード出しすぎは命取りということが強くわかる結果になりました。運動エネルギーの公式を眺めて「速度が2乗で効いてくる」ことはわかっても、実際に乗り物がどのように壊れてしまうのかは中々想像できませんね。昨今の車は操安性が高くスピードを出しても安定していますが、制限速度が設定されている理由をよく考えて安全運転することが大事ですね。

 

その他のサンプルでは、荷物が固定されていなかったら?他の衝突形態は?車以外では?など、様々なサンプルを追加していく予定です。

また、最適化による衝突性能アップ事例(サイドメンバー、クラッシュボックス、バンパーレインフォースなど)も追加予定です。

弊社では自動車メーカーから、各国の法規評価(FMVSS,UNR…)、各国NCAP評価などを受託しています。お気軽にお問い合わせください。