CAE最適化ツールを「宝の持ち腐れ」にしない!現場で使える最適化設計・完全ガイド

CAE最適化と言っても色々な手法があることを説明する図

本記事の信頼性について

この記事は、モータースポーツ最高峰のF1から自動車・重機などの量産開発まで、20年以上にわたり「CAE最適化設計」を主軸にサービスを提供し続けているGRM Consultingの現役エンジニアが執筆しています。机上の空論ではない、現場の「泥臭い手戻り」を解決してきた実践的なノウハウを凝縮しました。

なぜ高価な「CAE最適化ツール」は現場で放置されてしまうのか?

ソフトウェアの限界ではなく、設計フローへの統合エラーが活用を阻む最大の障壁です。

設計開発のリードタイム短縮と軽量化の切り札として導入される「CAE最適化ソルバー」。しかし現実には、多くの企業がツールを導入しただけで立ち止まり、本来のポテンシャルを引き出せていません。 弊社に寄せられるご相談でも、「最適化ツールはあるが、設計フローに定着していない」というケースが散見されます。

最適化ツールが現場に定着しない「2つの障壁」

  • 属人化と担当者不在:
    導入時のキーマンが異動・退職してしまい、ツールを正しく操作・設定できる人間が消滅した。
  • 技術と実務の乖離:
    実際に計算を回してみたものの、「実機評価と合わない」「CADでモデリング(製造)できない」非現実的な形状が出力され、プロジェクト自体が頓挫した。

そこで今回は、現場を最も悩ませる「ツールはあるが、使いこなせずに失敗した」という技術的なボトルネックに着目。なぜ最適化が机上の空論で終わってしまうのか、その真の理由を紐解いていきます。

 

CAE最適化ツールが現場で活用されない真因とは?

それでは、実際に弊社にご相談いただいく中で代表的な問題を以下で紹介します。

直面している課題
(手戻りの症状)
現場で起きている具体的な内容と「失敗の真因」
境界条件・荷重設定の致命的なズレ
  • 実機評価とCAEの条件がそもそも違う(驚くほど多い失敗例です)。
  • LS-DYNA等で評価すべき非線形/動的な課題が抜け落ちている(例:自動車BIWにおいて支配的であるはずの「衝突」を考慮していない)。
  • 「最適化はクラッシュボックス等のような非線形/動的課題には使えない」という思い込みがある。
最適化手法・結果への間違った固執
  • 最適化=「トポロジー最適化しかない」と思い込んでいる。
  • 出力された有機的な形状や中間密度となった部分を「100%完璧にCADでトレースしなければならない」という呪縛に囚われ、設計が前に進まない。
計算設定とモデリングの基礎力不足
  • 欲張りすぎた条件設定(メガ盛りの制約条件)により、物理的に「答えが無いこと」を延々と計算させている。
  • 結果の精度を左右する「メッシュクオリティが低い」ことに気付いていない。
【最重要】 CAEとCADの間に立ちはだかる壁

プロジェクトを崩壊させる最も致命的な要因が「CAE専任者とCAD設計者の分断(意識の壁)」です。

  • CAE専任者が「製造要件(金型で抜けるか等)」や「設計の意図」を理解していないため、CAD設計者側から「こんな形作れるか!」と突き返され、最適化結果が実務に活かされない。
  • 事実、「設計部署から」もしくは「CAE部署から」独立して依頼が来ることが多く、連携がうまくできていないことが多い。

どうでしょうか?上記の内容は、お客様に相談を受けて話を聞いていると「あ~・・・またこれかぁ~」と感じる代表格です。この記事に辿り着いたということは、ちょっと心当たりがあるのではないでしょうか?

もしかして、深夜にこんなキーワードで検索していませんか?

現場で壁にぶつかり、孤独に解決策を探すエンジニアの皆様。Googleの検索窓に、思わずこんな悲痛な叫びを打ち込んだ経験はないでしょうか。

  • CAD化の絶望:トポロジー最適化の結果がどうしてもCAD化できない…」「複雑な最適化結果3Dモデリングに落とし込むコツは?」「流行りのジェネレーティブデザインを試したが、結局製造不可な形状で終わった…」「中間密度になった部分はどうやって形状を作ればいいのか・・・」
  • 実機とのズレへの焦り:構造最適化の正しい境界条件設定方法を知りたい」「CAE最適化実機がどうしても合わない」「トポロジー最適化をやったら逆に応力集中が起きた…」
  • 計算エラーの泥沼:CAE最適化がいつまでたっても収束しない」「最適化制約条件優先順位はどう決める?」「トポロジー最適化目的関数の正しい選び方がわからない」

もし一つでも当てはまるなら、このページに辿り着いたのは大正解です。
次章では、この泥沼の「手戻り地獄」から確実に抜け出すための具体的な解決策をお見せします!

 

机上の空論を完全に破壊する。GRMが実践する「CAE主導の開発」とは?

それでは、この記事で最も重要な部分である解決策を、20年以上にわたり「CAE最適化」を主軸として様々な製品 / 企業 / 産業にサービスを提供し続けている、「CAE主導の開発」を実践する我々GRMが解決案を紹介します。

軽量化は当たり前。最大のメリットは「設計する時間」の創出。

CAE最適化というと「軽量化」ばかりがアピールされがちですが、我々が考える最大の利点は「開発期間の短縮(工数削減)」にあります。
そのため、リードタイムの限界に挑む量産車開発や、さらにタイトな開発スケジュールとなるレース車両の開発現場では絶対に欠かせないツールなのです。

最適化によって設計の初期段階で迷いがなくなれば、「製品のあるべき姿」を深く検討する時間が増えます。周辺部品との整合性確認、生産技術要件(マニュファクチャリング制約)の織り込み、あるいは斬新なアイデアの試行など、設計者が本来やるべきクリエイティブな仕事に時間を割けるようになること、
これこそが、GRMが掲げる「CAE主導の開発」の真髄です。

トランスミッションのトポロジー最適化事例画像。初期のトポロジー最適化結果と最終形状は全く違うように見えるが、主要なロードパスをキープすることを重要視している。
トランスミッションのトポロジー最適化
左:設計空間、中央:初期のトポロジー最適化結果、右:完成した最終設計形状
初期のトポロジー最適化結果と最終形状は全く違うように見えるが、主要なロードパスをキープすることを重要視している。

例として、上図はトランスミッションの開発プロセス(ULTRAN(外部リンク))の一部です。初期のトポロジー最適化結果と最終設計では大きく形状が異なります。初期のトポロジー最適化結果は「コンセプト形状」と割り切り、開発フェーズに合わせて様々なCAE最適化手法を活用するためです。

前章で挙げた「現場を崩壊させる手戻り地獄」。これらは決してツールのせいではなく、運用とプロセスの問題です。
我々GRMが実践する「CAE主導の開発」では、これらの絶望的な課題を以下のアプローチで完全に破壊します。

現場の課題(第2章のおさらい) GRMの「CAE主導開発」による解決策
境界条件・荷重設定のズレ
(実機と合わない・非線形の無視)

20年の経験が導く「正しい物理現象のモデリング」

  • F1や量産車開発で培った知見をもとに、実機とリンクする正確な荷重条件を見極めます。
  • 「最適化は静解析だけ」という常識を覆し、AbaqusやLS-DYNA等の非線形ソルバーと連携衝突や大変形などの動的/非線形な現象も最適化の条件に組み込みます。
最適化手法への固執
(トポロジー100%トレースの呪縛)

適材適所のマルチ・アプローチ

  • トポロジー最適化はあくまで「ロードパス(力の流れ)の可視化」として利用し、100%のトレースは行いません。
  • 初期段階の骨格抽出から、詳細設計フェーズでのRDM最適化 形状最適化(Shape Optimisation)まで、フェーズに合わせた最適な手法を組み合わせます。
計算設定・モデリングの基礎力不足
(メガ盛り条件で計算が終わらない)

プロによる「解ける定式化」と高品質メッシュ

  • 目的関数と制約条件のトレードオフを整理し、「現実的な時間で意味のある答えが出る」賢いパラメータ設定(定式化)を行います。
  • 結果の精度を担保する、最適化に適したメッシュ生成ノウハウを提供します。
【最重要】
CAEとCADの間に立ちはだかる壁
(作れない形状による部署間抗争)

GRMは「設計が分かる解析屋(究極のブリッジ)」です

  • 単に計算を回すだけでなく、「マニュファクチャリング制約(プレスや鋳造で抜けるか等の製造要件)」などを適切に織り込みます。
  • CAEとCAD、両方の言語を理解するGRMが懸け橋となることで、CAD設計者が納得する「現実的に製造可能な形状」を提案し、手戻りループを完全に断ち切ります。

 

【逆引きガイド】課題・フェーズで選ぶCAE最適化の種類と適用領域

一口に「CAE最適化」と言っても、開発フェーズや目的によって使うべき手法は全く異なります。ここでは、設計現場でよくある課題(やりたいこと)から、最適なアプローチを導き出す逆引きカタログを用意しました。

課題(やりたいこと)ごとのCAE最適化手法まとめ

設計課題・やりたいこと 最適な手法 適用効果とGRMのノウハウ
ゼロから最適な骨格を知りたい
(概念設計・大幅な軽量化)
トポロジー最適化
(位相最適化)
  • 与えられた設計空間の中で、荷重伝達に不要な部分を削り落とし「主要なロードパス(力の流れ)」を可視化する。
  • 中間密度部分を気にしすぎない。断面の大きさが重要なのか、リブくらいで済ませるのかを判断する。
  • GRMではこのコンセプト形状から、具体的な形状/設計案を提案/形状作成する。
すでにある形状を補強したい
(設計変更・評価NG対策)
RDM最適化
(トポロジー最適化)
  • コンセプト最適化結果⇒3D作成後の修正や調整をする。
  • 最低限の初期構成設計状態から、性能要件を満たすための補強を導出する。
  • 設計した構造に対して、弱い部分を可視化する。
  • RDM最適化とは?
リブ形状を決めたい
(鋳造製品や樹脂製品)
RDM最適化
(トポロジー最適化)
  • 外形形状が設計要件で決定している状態で、リブ配置で要求性能を満足させる。
  • RDM最適化と後述のトポメトリー最適化の組合せなどが適している。
  • RDM最適化とは?
要求性能まであと少し!を微調整したい
(詳細設計・フィレット等の微調整)
形状最適化
(シェイプ/モーフィング)
  • コンセプト最適化結果⇒3D作成後の修正や調整をする。
  • 既存の形状(表面形状)をミリ単位で調整し(モーフィング)、応力集中を分散する。
  • メッシュを直接変形させるため、CADに戻さずに素早いトライ&エラーが可能になる。
  • 剛性や振動特性が要求性能を満足するように既存形状を微調整する。
樹脂部品の板厚分布を決めたい
(樹脂部品の適正板厚)
トポメトリー最適化
(肉厚分布最適化)
  • 要素ごとに板厚を変化させ、どこを厚くすれば要求性能を満足するかを探索する。
  • GRMが提唱するユーザーパターン法を使用することで、肉厚の急変を防ぎつつ、成形可能な肉厚分布を前提に最適化できる。
プレス部品のビード(リブ)配置を決めたい
(板金部品の剛性アップ)
トポグラフィー最適化
(形状最適化)
  • SHELL要素で構成された面の凹凸(ビード)を最適化する。
  • 応力集中の分散や、共振周波数の調整など、板金部品あるあるな課題をビードで解決する。
複数部品の板厚の「最適解」を知りたい
(軽量化/剛性バランス適正化)
板厚最適化
(サイジング最適化)
  • 板金部品などの一定板厚の部品に対し、要求性能を満足する適切な板厚を導出する。
  • 自動車のホワイトボディ(BIW)など、何百という部品群の板厚を同時に変数とし、「強度・剛性を満たしつつ最も軽い板厚の組み合わせ」を算出する。
複合材の繊維配向や積層数を極めたい
(異方性材料のポテンシャル最大化)
CFRP最適化
(積層最適化)
  • CFRP(炭素繊維強化プラスチック)特有の「どの向きに、何プライ積層するか」という複雑な変数を最適化する。
  • Formula1の車両開発等で培ったGRMの最も得意とする領域の一つ。
  • CFRP最適化ガイド
衝突・落下などの動的現象を最適化したい
(エネルギー吸収量の最大化など)
非線形領域最適化
(ESL-Dynamic等)
  • 静解析だけでなく、LS-DYNAやAbaqus等の非線形ソルバーと連携する。
  • クラッシュボックスの圧壊や、バンパーのエネルギー吸収性能など、複雑な動的現象を含んだ高度な最適化を実行する。
  • 材料の非線形性も取り扱える。
LS-DYNA等非線形ソルバーでしか評価できない課題
(空力やダミーの傷害値コントロールなど)
DoE / MDO
(実験計画法 / 多目的最適化)
  • 線形静解析ソルバーでは近似値を求められない課題の最適化。
  • ダミー傷害値や爆発、空力特性の最適化など。

CAE最適化に組み込める「荷重条件・物理現象」

「ウチの製品は特殊な環境で使われるから…」と諦める必要はありません。静的な強度や剛性の計算だけでなく、動的現象や流体、熱など、あらゆる物理現象を最適化の評価軸(制約条件・目的関数)として組み込むことが可能です。

過去に最適化不可能だった条件については、様々な解析ソルバーと最適化ソルバーを連成(LS-DYNA⇔GENESIS、Romax⇔GENESIS など)させることに成功しています。諦める前にご相談ください。

強度・剛性 NVH(騒音・振動・乗り心地) 疲労・耐久性 熱伝導・熱応力 流体・空力(CFD連携) 衝突・エネルギー吸収 流体構造連成(FSI)

※もちろん、これら相反する複数の条件を同時に評価・最適化するマルチフィジックス最適化MDO(多目的最適化)にも対応しています。


あらゆる産業・製品に適用可能(時にはガードレールまで!?)

CAE最適化が活躍するフィールドは、自動車や航空宇宙といった最先端モビリティに留まりません。「物理法則」が存在し、何かしらの「制約」の中で最高のパフォーマンスを出さなければならないすべてのプロダクトが、我々GRMの最適化領域(フィールド)です。

自動車 自動車・モビリティ
重機・建機 重機・建機
航空・宇宙 航空・宇宙
鉄道・海洋船舶 鉄道・海洋船舶
FA・ロボット FA・ロボット
建築・土木 建築・土木
医療・介護用品 医療・介護用品
スポーツ・家具・楽器 スポーツ・家具・楽器

【プロの裏話】
珍しいところだと、道路の「ガードレール(フェンス)」の衝突エネルギー吸収の最適化なども、我々の実績として存在します。「ウチのこんな特殊なモノでも最適化できる?」という疑問があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください!

 

実際の開発プロセス紹介(事例リンク集)

Simulation & Optimisation Case Studies
幅広い物理現象の最適化実績

RDM最適化による剛性強化事例

Stiffness / Strength

RDM最適化による構造補強

トポロジー結果の「100%トレース」を脱却。最低限の初期構成から、要求性能(剛性・強度)を満たす補強形状を導き出すアプローチ。

ギターの音響・振動最適化事例

NVH / Acoustics

エレキギターの音響最適化

NVH(騒音・振動)領域の最適化。楽器の音響特性(固有振動数)をコントロールし、狙った音質を実現するための内部構造設計。

バッテリーケースの衝突最適化事例

Crash / Non-linear

EVバッテリーケースの衝突最適化

LS-DYNA等の非線形ソルバーと連携。電気自動車の要であるバッテリーを保護するため、衝突安全性能と軽量化を高い次元で両立。

ブレーキローターの熱流体連成事例

Thermal / Fluid

ブレーキローターの熱流体連成解析

ブレーキローターの放熱性能を評価する熱流体連成解析(FSI)。最適化へと繋げるための、高度な物理現象のモデリング事例。

GRMで使用している主なソフトウェアの紹介

GRMの受託サービスで使用している主な解析ソルバーをご紹介します。いずれのソフトウェアを用いた計算においても、弊社ではCAE最適化を組み合わせることが可能です。
また、過去に連携が難しいとされていたソルバー同士の連携(例:最適化ソルバーGenesisとHEXAGON Romaxの連携や、自社開発最適化ソルバーによるAbaqusでの最適化など)も柔軟に請け負っております。

線形静的 / 動的解析

  • Genesis
  • Nastran
  • Epilysis
  • SolidWorks Simulation    など

非線形静的 / 動的解析

  • LS-DYNA
  • Abaqus    など

流体解析

  • OpenFOAM
  • LS-DYNA    など

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その解析課題、GRMが解決します。

本記事でご紹介した「CAE最適化技術」「CEA最適化の活用術」を、御社の製品開発現場に適用しませんか?
「課題の真因を一緒に探りたい」「現状を見てほしい」など、ブレインストーミング的なご相談からでも大歓迎です。

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※「記事を見た」と書いていただけるとスムーズです。
  ※技術のご相談は各事例モデルの解析担当者に対応させます。

この記事の監修・執筆チーム

GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部

モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、本記事のような設計目線での解析評価や最適化を得意とし、製造要件(鋳造・鍛造・押出成形・板金・CFRP)を考慮した「造れる設計」を提案しています。

  • 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
  • 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析