CAD/CAE分業の手戻りを解消する「シミュレーション主導設計」実践ガイド
本記事のトピック
- 設計と解析の分業が引き起こす「終わらない手戻り(キャッチボール)」や、「実機試験と合わない解析結果」に対するCAE不信の真因を徹底解説。
- 事後検証としてのCAE利用から脱却し、精度の高い「正しい物理モデリング」をベースにした開発手法へシフトするためのアプローチを提示。
- 最適化アルゴリズムを用いて理想の骨格を創出し、「極限の軽量化」と「大幅な開発工数削減」を同時に達成する『シミュレーション主導設計』のプロセスを9つの事例と共に公開。
限界を迎える従来型プロセス:CAD/CAE分業の弊害と『過剰品質』の現実
ここでは、弊社GRMに寄せられた中から、「CAEが活用できていないと感じる、よくある事例」を紹介します。高価なツールを導入したにも関わらず、多くの企業が同じような構造的課題に直面し、疲弊していることがわかります。
| 現場で発生している課題 | メカニズムとビジネスへの影響 |
|---|---|
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設計と解析の分業による 「終わらない手戻り」 |
【真因】組織的・心理的な分断
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実機テストとの乖離と CAEへの不信感 |
【真因】モデリングの基礎力不足とツールの過信
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「過剰な安全率」への妥協と 製品競争力の低下 |
【真因】試行錯誤による最適設計の限界
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CAEを「事後検証」に留める ポテンシャルロス |
【真因】「試作品評価の代用」という旧来の発想
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【コラム】CAD/CAEの完全分業は「悪」なのか?
現在の開発環境では、CADによる設計とCAEによる解析評価が組織的に完全に分かれていることが多いです。「分業制が悪」なのではなく、「距離が離れすぎている」ということが問題の本質です。分業制には、以下のような明確なメリットとデメリットが存在します。
分業制のメリット
- CAEの専門性が高くなり、非常に高度な現象を取り扱えるようになる。
- 設計担当者は周辺部品との擦り合わせ、コスト低減や品質向上などに集中できる。
- 分業とすることで、客観的(第三者目線的)に設計の良否を判断できる。
分業制のデメリット
- CAE担当者は設計のことがよくわからず、評価の合否のみしか伝えられない。
- 設計担当者は机上計算では不可能な事象を延々と悩んでいる。
- 分業とすることで、開発中にCAE評価が気軽に使えない。
我々GRMが提案する「シミュレーション主導設計」とは、この高度な専門性というメリットを活かしつつ、両者の間に横たわる「壁」を『設計と解析が初期から伴走するプロセス』によって破壊するアプローチなのです。
精度なきCAEからの脱却:手戻りを無くす「シミュレーション主導」のアプローチ
ここでは、前章で指摘した課題に対する、GRMが実践する「シミュレーション主導の開発」による対策を紹介します。
弊社顧客の中で、「短時間開発に成功していて、設計力が高い!」と感じるようなお客様は、「設計者=CAEもCADも両方自分でやる」ということが多いです。
前章で挙げた「現場を崩壊させる手戻り地獄」。これらは決してツールのせいではなく、運用とプロセスの問題です。
我々GRMが実践する「CAE主導の開発」では、これらの絶望的な課題を以下のアプローチで完全に破壊します。
| 現場の課題と真因 | GRMの「CAE主導開発」による解決策 |
|---|---|
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設計と解析の分業による 「終わらない手戻り」 【真因】組織的・心理的な分断 |
開発初期からCAE最適化を実施するフロントローディング
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実機テストとの乖離と CAEへの不信感 【真因】モデリングの基礎力不足とツールの過信 |
プロによる「実機と合う」モデリングの徹底
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「過剰な安全率」への妥協と 製品競争力の低下 【真因】試行錯誤による最適設計の限界 |
ソフトウェアによる極限の最適化(軽量化・高剛性)
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CAEを「事後検証」に留める ポテンシャルロス 【真因】「試作品評価の代用」という旧来の発想 |
CAEを「新たな形状を創出するツール」へシフト
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実プロジェクトで見るCAE・最適化の効果
それでは、実際の事例を交えながら、我々GRMが提唱する「シミュレーション主導の開発」の実践例を紹介します。事例集へのリンクとなるため、ぜひ事例集一覧も確認していただき、現在の困りごとに対する解決案を探してみてください。
| 活用分野 | 事例イメージ(クリックで詳細へ) | 概要 |
|---|---|---|
<構造>
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RDM最適化事例
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<構造・座屈>
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円錐殻の座屈問題最適化
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<構造・衝突>
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バッテリーフレームの衝突最適化
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<空力・熱>
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FSI(流体構造連成)解析①
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<構造設計>
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FIA Standard 8855-2021適合シート
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<構造設計>
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<空力・構造>
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CFRP製フレキシブルウィング開発
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<構造設計>
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ギターのトポロジー最適化
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<構造設計>
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ボンネットの最適化(HIC:頭部傷害値)
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その解析課題、GRMが解決します。
本記事でご紹介した「CAEの導入によるメリット」や「最適化を生かした設計プロセス」を、御社の製品開発に適用しませんか?
「現状の困りごとを聞いてほしい」「GRMで○○を開発した場合の費用や工期は?」など、雑談程度のご相談からでも大歓迎です。
※「記事を見た」と書いていただけるとスムーズです。
※技術のご相談は各事例モデルの解析担当者に対応させます。
この記事の監修・執筆チーム
GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部
モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 従来の開発プロセスに限界を感じ、「CAE評価をしながら設計していく」というスタイルで仕事の質を向上させることに成功。 常に設計者が監修することで、単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、設計者目線での改善案を提案します。
- 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
- 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析
