今回の事例では、非線形接触を使用したトポロジー最適化の事例を紹介します。
単純な3点曲げ梁計算のモデルをまずは用意しました。条件は以下のようになっています。

上記のように、違いを確認するために梁と治具の間は、
A.非線形接触
B.接着(スライド可)
上記の2パターンの境界条件を用意しました。もちろん、実現象に近いのはAの非線形接触となります。最適化前の計算結果を確認してみましょう。

境界条件違いによる計算結果を確認すると、Bの接着(スライド可)は明らかに実現象とは違った挙動を示しており、変形モードも応力分布も適切とは言えない結果となりました。
それぞれの境界条件を使用して、トポロジー最適化を実行してみましょう。単純比較しやすいように、押出し形状の制約条件を使用しています。

境界条件の違いにより、全く異なる形状に収束しました。Aの非線形接触を境界条件として使用したトポロジー最適化結果では、荷重を受ける部分をトラス構造として強く意識していることがわかります。一方、Bの接着(スライド可)の方は、固定治具(丸棒)部分の接触が回転しないため、軸と圧子を一直線に繋ぐ結果となっています。
このように、境界条件の違いにより大きく最適化形状が変化してしまうことがわかる結果となりました。CAEによる最適化を実行する際は、荷重条件を抜け漏れなくすることだけでなく、境界条件も適切な条件にすることが大切であることがわかります。
残念ながら、構造解析単独では非線形接触が使用できても、最適化解析では非線形接触が考慮できない最適化ソルバーがあり、正しい最適化結果を導出できないことがあります。最適化結果が間違えているのでは?感じたら、条件設定をよく確認してみるといいかもしれませんね。