OptiAssist for Abaqus Composite Laminate Optimiser

Formula 1チームとの共同開発プロジェクト(Project OPTIMA)の成果を基盤とする「OptiAssist for Abaqus - Composite Laminate Optimiser」は、SIMULIA Abaqus環境における複合材積層構造の最適化に特化したソフトウェアモジュールです

従来の積層最適化における主要な技術的障壁として、ソルバーが出力する小数点以下の連続的な厚み(連続値)データを、実際の製造要件(プリプレグの層数や配置角度)へと変換する際の手戻りや、手作業に伴う工数の増大が挙げられます

本モジュールは、新開発の離散ソルバー(Discrete Solver)を標準搭載しており、実際の製造仕様に適合した「プライ枚数」および「積層角度」の離散解を直接導出可能です。これにより、計算結果から製造用レイアップデータへの手動修正プロセスを不要とし、設計リードタイムの大幅な削減を達成します。また、Abaqusによる再シミュレーションを行うことなく積層構成の変更が質量や剛性に与える影響を即座に予測するリアルタイムレスポンス(RTR)機能を備え、限られた開発期間内での確実な構造探索を支援します

SIMULIA Abaqus用複合材最適化モジュール  -Composite Laminate Optimiser の機能と特徴-

OptiAssist for Abaqus Composite Laminate OptimiserのUI画面

離散ソルバーによる積層仕様の直接導出と実証データ

複合材(CFRP)構造のトポロジー最適化やサイズ最適化における主要な課題は、ソルバーが出力する「小数点以下の連続的な厚み分布(変数表現)」が、実際の製造現場で用いるプリプレグシートの枚数や厚みと一致しない点にあります。従来の最適化プロセスでは、得られた連続値の計算結果をエンジニアが手動で実際のプライ枚数へ置き換える「手動離散化(Manual Discretisation)」が必要であり、この工程に伴う性能の乖離や手戻り工数の発生が設計全体の障壁となっていました。

OptiAssist for Abaqus(v3.2以降)では、実際の製造要件に適合したプライ枚数(厚み)およびスタック角度をソルバーが直接計算する「離散ソルバー(Discrete Solver)」を標準実装しています。本アルゴリズムは、最初に連続値による最適化を内部的に実行した上で、指定されたプリプレグの板厚インクリメントに応じた離散解を一気通貫で導出します。

OptiAssist for Abaqusによるプライ板厚の離散化処理

手動離散化と離散ソルバーによる性能・質量の比較スタディデータ

開発元による実証データとして、航空宇宙・モータースポーツ分野で用いられるコンポーネントを対象とした、連続体ソルバー、手動離散化(従来手法)、およびv3.2離散ソルバーの計算結果の比較を以下に示します。

評価指標 連続値での計算解 (Continuous) v3.2 離散ソルバー解 (Discrete) 従来の手動離散化解 (Manual)
総質量 (kg) 38.1 41.0 43.1
ねじり剛性 (Nm/deg) 15,044 17,733 16,019
垂直剛性 (N/mm) 1,560 1,739 1,612
横剛性 (N/mm) 1,322 1,633 1,365

手動離散化(Manual)では、局所的な強度判定指数(Failure Index)のホットスポットを回避するためのマニュアル調整により、質量が43.1kgまで増加し、各方向の剛性値も連続値解からの損失が生じていました。

これに対し、v3.2の離散ソルバー(Discrete)を用いた計算結果では、総質量を41.0kgに抑制(手動離散化比で2.1kgの軽量化)しながら、ねじり剛性(17,733 Nm/deg)、垂直剛性(1,739 N/mm)、横剛性(1,633 N/mm)のすべてにおいて手動離散化解を上回る剛性性能を導出しています。

本機能により、エンジニアによる試行錯誤を伴う離散化ループを排除し、破壊指数制限および剛性要件を満たした「製造可能な積層データ」を計算プロセスのみで確定させることが可能となります。

フル解析を不要にするリアルタイムレスポンス(RTR)機能

複合材の積層設計におけるもう一つの技術的課題は、プライ(層)の追加、削除、あるいは配向角度の変更を行うたびに、大規模な有限要素法(FEM)解析を最初から実行し直さなければならない点にあります。SIMULIA Abaqusを用いた非線形解析モデルでは、1サイクルあたりの計算時間が膨大になるため、設計変数の傾向把握やパラメータサーベイ(スタディ)の処理効率が著しく低下する障壁がありました。

OptiAssist for Abaqusに搭載されたリアルタイムレスポンス(RTR)モジュールは、基準となる1回のみのAbaqusシミュレーション結果をベースとし、積層構成の変更が構造物全体の性能に与える影響を数秒でライブ予測・探索する機能です

OptiAssist for Abaqus のリアルタイムレスポンス(RTR)機能

RTR機能の主な特徴と評価プロセス

  • フル解析なしでの性能予測:プリポスト上のUIでプライの追加・削除、あるいは繊維配向角の修正(例:45°から10°への変更など)を行うと、その変更が全体の「質量」「コンプライアンス(グローバル剛性)」「変位」に与える影響を即座に算出します

  • プライの重要度ランキング(Rank plies):モデル内に配置された各プライが、構造剛性や破壊制限に対してどの程度貢献しているかを力学的な感度に基づいて順位付けします。これにより、剛性への寄与度が低い無駄なプライを特定し、効率的な減肉・軽量化プロセスへの移行が可能となります

  • 変位コンポーネントの個別評価サポート:最新のv3.2アップデートにより、評価対象領域(NSET)に対して方向別の変位コンポーネント(例:RTRX, RTRY, RTRZなど複数の変位方向定義)を個別に設定したライブ予測に対応しました。これにより、ねじり剛性、垂直剛性、横剛性といった異なる荷重モードに対する挙動の変化を同時にデスクトップ上でスタディできるようになりました

本機能は、クラスターや高性能ワークステーションでの重い再計算を実行する前に、設計案の優劣をプリポスト上で網羅的に検証するための探索ツールとして機能し、CAEエンジニアの検討工数を大幅に低減します

製造可能性を担保する積層プライ形状制約コントロール

複合材の最適化計算において、力学的な要求仕様のみを追求すると、成形不可能な複雑なプライ形状や不規則な積層順序が導出される課題があります。OptiAssist Composite Laminate Optimiserは、成形現場における生産技術要件をあらかじめ制約条件として定義するプライ形状制約コントロール(マニュファクチャリング制約)機能を備えています

OptiAssist for Abaqusによる、製造性を考慮した積層最適化

適用可能な主要幾何制約機能

  • 対称積層ペア(Symmetry pairing):硬化時の熱収縮に伴う成形品の反りや熱変形を抑制するため、積層の中心面に対して対称となるラミネート構成を強制的に保持します

  • プライのリンク(Ply linking):複数の領域間でプライの連続性や形状を同期させ、構造的な連続性を担保します

  • プライのグループ化(Grouping):複数のプライに対して同一の厚み変更や角度変更の変数を一括して制御し、製造工程の煩雑化を回避します

  • ユーザーパターン機能(User Pattern):型形状に合わせたプライパターン(プリフォーム)形状を定義することで、適切なプライ形状を守った積層最適化を実行します。

v3.2におけるユーザーインターフェースの刷新による操作性の向上

最新のバージョン3.2においては、これらの複雑な幾何制約を定義する「プライリンクメニュー(Ply Linking Menu)」が刷新されました。プライ一覧のソート機能およびフィルタ機能が追加されたほか、マスター(Master)とスレーブ(Slave)の関係性が容易に識別可能となり、数百層に及ぶ大規模なラミネートモデルであっても、設定エラーや定義漏れを防止するフローが構築されています

各種CAD/CAEシステムとのデータ連携および統合ワークフロー

複合材の最適化設計から製造フェーズへのシームレスな移行を実現するため、OptiAssist Composite Laminate Optimiserは主要な外部CAD/CAEツールとの間に自動ダイレクトアップデート環境を構築しています

OptiAssist for Abqusのインポート/エクスポートツール

連携可能なシステムおよびファイルフォーマット

  • Abaqus/CAEへのダイレクトアップデート:最適化ソルバーが導出した最終的なプライ枚数や配向角度の結果に基づき、Abaqus/CAE内のLayup(積層定義)情報を手動操作なしで自動的に書き換えます。これにより、手作業による再入力エラーを排除します。

  • CATIAとのデータ連携:CATIAの積層設計モジュールで用いられる、ゾーンベースのプライおよびスタックファイル(Zone-based ply and stack files)形式をサポートしています。CAE側での最適化結果をCAD側の3Dマスターモデルへ直接フィードバックすることが可能です。

  • 主要プリプロセッサとの親和性:Altair HyperMeshやBETA CAE Systems社のANSAなど、業界標準の有限要素モデリングツールと円滑なデータ連携が行えるインポート・エクスポート機能を備えています

 

 

2026年〜2027年 開発ロードマップ

OptiAssist Composite Laminate Optimiserは、F1チームをはじめとする最前線の設計ニーズに対応するため、継続的な機能拡張を予定しています

バージョン 3.2(現行最新リビジョン)

  • 新開発の離散ソルバー(Discrete Solver)を標準ソルバーモードとして実装

  • 操作性を高めた新しい積層リンクメニュー(Refreshed Ply Linking Menu)の刷新

  • 計算プロセスの傾向や制約条件の違反状況を可視化する新型ヒストリープロッター(New History Plotter)の搭載

バージョン 3.3(次期リリース)

  • CATIAのゾーンベース・プライおよびスタックファイル形式に対する完全なインポート・エクスポートサポートの実現

バージョン 3.#(将来的な拡張機能)

  • 積層設計に要する定式化と探索をさらに加速する「Model Accelerator」モジュールの追加

  • 複雑な自由形状preform(プリフォーム)に最適化された「高度なプライ形状生成手法(Enhanced Ply Shapes Methods)」の統合

OptiAssist for Abaqus Case Studies


OptiAssist for Abaqus のケーススタディ

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活用されている

分野の例

  • レース産業
  • 自動車産業
  • 海洋産業
  • 再生可能エネルギー
  • 航空宇宙産業