座屈問題のCAE最適化

円柱座屈CAE解析結果

今回の事例では、座屈問題を最適化する事例を紹介します。

座屈CAEモデル

 

まずは肉厚1mmのパイプを用意しました。入力条件は以下のように、下端を完全拘束、上端はフリーの状態で、上端に圧縮荷重15kNを与えます。

座屈圧縮荷重
 
まずはベースラインの解析結果を確認します。
 
座屈CAE計算結果
  • 座屈固有値係数:0.71(1.0以下で座屈します)
  • 応力:200.4MPa
  • 最大変位:0.49mm

上記のようになりました。もちろん、応力と変位は「座屈しなかったら」が前提としてあるため、実際に試験を行うと座屈してしまい強度が不足する状態です。

座屈CAE最適化設定

上記のように、座屈考慮有無の2パターンの最適化モデルを用意しました。両方とも板厚の最適化を実施し、結果にどのような差があるかを確認します。

最適化後の板厚は以下のようになりました。

  • 最適化前:1.0mm
  • 最適化後(座屈考慮無し):1.29mm
  • 最適化後(座屈考慮有り):1.88mm
座屈最適化後板厚
最適化結果_座屈考慮無し

まずはパターン1:座屈考慮無しの最適化結果(t1.29)です。

応力も変位も低下していますが、座屈固有値係数が0.92となっており、実際には座屈してしまうことがわかります。

最適化結果_座屈考慮有り

こちらがパターン2:座屈考慮有りの最適化結果(t1.88)です。

応力と変位がさらに低下し、座屈固有値係数が1.33となり目標性能を満足できていることが確認できました。

いずれの解析結果も机上計算とほぼ一致する結果となりうまく計算できていました。

円錐殻の座屈CAE結果

座屈固有値を考慮した最適化は、円柱の圧縮座屈に限らず上記のような円錐殻の座屈にも使用することができます。別の事例で紹介している、CFRP製椅子の開発でも利用されました。

ただし、以下図に示す、所謂パネルデントと呼ばれるような面の座屈については、座屈前の変形状態が再現できていないと線形静解析ソルバーでは正しく座屈荷重を予測できません。そのため、LS-Dyna等の非線形解析ソルバーと組み合わせた最適化が必要になります。非線形ソルバーとの連携では、押込み荷重の耐座屈性能や、風圧の耐座屈性能の最適化実績があります。

線形静解析ソルバーの固有値計算を元にした座屈性能確認だけでは、形状バラツキ・荷重の偏り・座屈前の変形による座屈荷重の低下を見落としてしまうため、最適化をしながら随時LS-Dyna等で性能確認をしています。

パネルデントCAE解析結果

今回は一般的な変形や強度だけでなく、座屈についても同時に最適化を実行できることを紹介しました。今後も様々なサンプルを紹介予定です。

弊社ではCAE解析による評価だけではなく、設計も受託しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。


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この記事の監修・執筆チーム

GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部

モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、本記事のような座屈問題がかかわる製品設計を得意とし、性能目標の達成から軽量化まで様々な改善を手掛けています。

  • 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
  • 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析