CFRP製品のラフ積層設計から製造可能な積層設計までの手順紹介

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CFRP製品設計における、CAE最適化を使用した場合と、従来の手作業設計の場合の開発プロセスを比較したワークフロー。

本記事のトピック:ラフ最適化設計から製造可能な設計までの流れを紹介

  • CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の最適化設計において、既存のフリートポメトリー最適化が陥りがちな「感度不足の罠」や「手戻り地獄」といった実務的な課題の本質を浮き彫りにします。
  • CADとCAEの分断による非効率な無限ループを断ち切り、初期のパターン設計からドレーピング解析・板厚徐変を伴う詳細設計までをシームレスに統合するOptiAssistのワークフローを解説します。
  • 「最初から製造可能なプライ形状」を算出することで、設計者のリソースを単純作業から解放し、より大胆なアイデアの検証や高度なエンジニアリングに集中できる環境を提案します。
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【積層設計の課題】

CFRP製品の設計では、「CFRP設計の完全ガイド」で説明しているように手作業での設計は非常に難しく、最適化ソルバーを活用した積層最適化設計が主流です。CAEによる積層最適化設計により、設計工数の大幅な削減および試作回数の削減が達成できます。

CFRP製品設計における、CAE最適化を使用した場合と、従来の手作業設計の場合の開発プロセスを比較したワークフロー。


この記事では、CFRPシート設計事例や次に、CFRPチェア設計事例でCFRPの積層設計で簡単に説明した、ラフな初期最適化から詳細最適化までの間にいったいどんな工程で進めたんだろうか?という疑問にお応えします。

CFRP設計において、ラフなトポメトリー最適化のあと、製造可能なプライでの積層設計に至るまでの工程を公開。
図1:CFRP積層設計紹介でブラックボックスにしていた開発工程部分
ラフな初期最適化のあと、詳細最適化までにいったい何をしているのかを紹介する。

OptiAssistを使用した場合と、汎用手法(一般的な最適化ソルバー+プリポスト)を使用した場合と、手作業での設計の対比はCFRPチェア事例紹介にある通りですが、「OptiAssist vs 汎用手法」の対比をより詳細に紹介します。

 

【OptiAssistを使用した設計と、汎用手法での設計比較】

比較項目 既存の最適化技術
(フリートポメトリー等)
GRM技術
(OptiAssistプロセス)
設計変数の規模と
割り当て
「要素一つ一つ」が対象となるため、変数が天文学的な数(数万~数十万)に膨れ上がる。 パッチサイズ(例:100mm角)で要素をグループ化し、変数を極限まで圧縮・最適化
ソルバーの感度と
計算の収束性
【感度不足の罠】
1要素の変更が全体に与える影響が小さすぎ、ソルバーが方向性を失い計算が停滞(迷子)する。
【確実な収束】
パッチごとのグループ化により適切な感度を維持。計算がスムーズに進み、短時間で解に到達する。
製造要件への
落とし込み
板厚や繊維配向がモザイク状にバラバラになり、そのままでは現場で製造(積層)できない 最初から「製造可能なプライ形状(現実的なサイズ)」を考慮した、実用的な最適化結果が出力される。
設計変更・修正の
手間(工数)
膨大なプロパティを一つずつ手作業で書き換える「手戻り地獄」が発生する。 設計変数セットやパターンを変更するだけで、関連する全要素に一括で自動反映される。OptiAssist独自のパターンベースモデリングにより設定が簡単。

このようにして、汎用手法(既存手法)での積層最適化は無駄が多いことがわかります。汎用ソルバー/汎用プリポストのため、CFRP設計に特化した機能が少なく、最適化はできるけどすごく大変。という状況です。これに対し、OptiAssistシリーズはCFRP設計者が開発したツールであり、Formula1をはじめとして、様々なCFRP設計者たちの要望を取り入れながら育ってきたツールのため、非常に効率の良い設計プロセスになります。

 

【Phase1:ラフなトポメトリー最適化による構造全体の傾向調査】

ここでは、初期の積層最適化について紹介します。まずはトポメトリー最適化を使用して、厚みの分布傾向を調査します。この時、あまり繊維の向きや材料の種類には拘りません。あくまで、どのあたりが重要な部位になるのかな?ということを確認します。汎用手法では、設定が比較的簡単なフリートポメトリーを使用することがあると思いますが、たくさんの懸念点があります。

技術コラム

なぜ既存のフリートポメトリー最適化は「感度不足の罠」に陥るのか?

【トポメトリー最適化とは?】
板厚最適化(Sizing Optimisation)の亜種であり、プロパティIDごとではなく、メッシュ要素ごとに板厚や繊維配向を変化させる最適化手法のことです。

このフリートポメトリー最適化が失敗しやすい最大の理由、それは「設計変数の爆発」です。
従来技術では「メッシュ要素の一つ一つ」が別々の積層設計の対象となるため、例えば1万要素のモデルで「質量最小化(目的関数)」と「変位量(制約)」の最適化をかけると、設計変数は以下のように天文学的な数に膨れ上がります。

設計変数 = 【1万要素】 × 【板厚(枚数)】 × 【繊維配向】 × 【材料種類】

ここでソルバー(計算機)に致命的な問題が起こります。それが「感度不足」です。
全体の質量や変位量に対して、1万個ある要素のうち「たった1つの要素の板厚や配向」を少し変更したところで、全体への影響(感度)はほぼゼロになります。その結果、ソルバーは「どこを変更しても結果が変わらない(方向性が定められない)」と判断し、計算が迷子になって停滞してしまうのです。

GRM技術(OptiAssist)によるブレイクスルー

OptiAssistでは、例えば「100mm角」といった任意のパッチサイズを設定し、要素を意味のあるグループにまとめて最適化を行います。これにより設計変数の無秩序な爆発を防ぎ、ソルバーが「ここを変更すれば全体性能が向上する」という適切な感度(方向性)を得られるため、計算が確実に収束します。
さらに、最初からまとまったサイズで計算されるため、「製造(積層)可能なプライ形状」に近い結果が初期段階から出力される、圧倒的な実用性を誇ります。

技術コラム

なぜ既存のフリートポメトリー最適化は「感度不足の罠」に陥るのか?

既存のフリートポメトリー最適化が失敗しやすい最大の理由、それは「設計変数の爆発」です。
従来技術では「メッシュ要素の一つ一つ」が別々の積層設計の対象となるため、例えば1万要素のモデルで「質量最小化(目的関数)」と「変位量(制約)」の最適化をかけると、設計変数は以下のように天文学的な数に膨れ上がります。

設計変数 = 【1万要素】 × 【板厚(枚数)】 × 【繊維配向】 × 【材料種類】

ここでソルバー(計算機)に致命的な問題が起こります。それが「感度不足」です。
全体の質量や変位量に対して、1万個ある要素のうち「たった1つの要素の板厚や配向」を少し変更したところで、全体への影響(感度)はほぼゼロになります。その結果、ソルバーは「どこを変更しても結果が変わらない(方向性が定められない)」と判断し、計算が迷子になって停滞してしまうのです。

GRM技術(OptiAssist)によるブレイクスルー

OptiAssistでは、例えば「100mm角」といった任意のパッチサイズを設定し、要素を意味のあるグループにまとめて最適化を行います。これにより設計変数の無秩序な爆発を防ぎ、ソルバーが「ここを変更すれば全体性能が向上する」という適切な感度(方向性)を得られるため、計算が確実に収束します。
さらに、最初からまとまったサイズで計算されるため、「製造(積層)可能なプライ形状」に近い結果が初期段階から出力される、圧倒的な実用性を誇ります。

【Phase2:現実的なプライ形状での積層最適化】

ここでは、いきなり製造可能な状態まで最適化で求めることは非効率なため、大まかなプライ形状を指定して積層最適化を実施します。このタイミングで、製造性も考慮していきます。Phase1の結果をもとに、「型の分割位置」「大まかなプライ形状」「コアの有無」をある程度指定した状態で最適化を実行します。Phase2で言う「大まかなプライ形状」とは、型に合わせたプリフォーム形状のことだったり、ドレーピング性を考慮したプライ形状の場合もあります。

CFRP製品設計のPhase2における、現実的なプライでの積層最適化方法を紹介する。
図3:CFRP積層最適化のPhase2
Phase2では、より現実的なプライ形状で積層最適化を実施する。
技術コラム

Phase2の極意:自由度を奪う「製造性の縛り」と「手作業地獄」

Phase2における最大のキモは、ズバリ「最初から欲張りすぎないこと」です。
初期段階から製造要件(マニュファクチャリング制約)をガチガチに固めてしまうと、設計の自由度が大きく奪われます。その結果、ソルバーが探索できる範囲が狭まり、人間が思いもよらなかった「もっと高効率で斬新な積層設計」を見落とす危険性が高まるのです。

さらに、製造性を過度に考慮すると最適化の設定工数が膨大になり、「複数のアイデア(プライ形状)を素早く試して比較する」というCAE本来のアジャイルな強みが失われてしまいます。

OptiAssist「ユーザーパターントポメトリー」の威力

ここで真価を発揮するのが、OptiAssistの「ユーザーパターントポメトリー」です。これは、プリフォーム形状や板厚が変化する境界など、ユーザーが指定した任意の「パターン(プライ形状)」ごとに最適化をかける機能です。

OptiAssistなら、このパターン作成と設定が直感的に行えるため、多数の設計アイデアを苦もなく試行できます。もしこれを一般的な汎用プリポストで行おうとすれば、大量のPCOMPG(積層プロパティ)を手作業で作成し、一つひとつに設計変数を割り当てるという「地獄のような単純作業の繰り返し」に陥ってしまうでしょう。

 

【Phase3:現実的なプライ形状での積層最適化】

Phase3では、Phase2で得られた結果をもとに、実際に「製造可能な積層」を設計していきます。単に形を作るだけでなく、適切な型割で作成できるプリフォームになっているか、各プライのドレーピング性(賦形性)、応力集中を避けるための板厚徐変(テーパリング/スタッガー)など、複雑に絡み合う様々な製造要求を同時に満足させる必要があります。

CFRP製品設計のPhase3における、製造可能なプライでの積層最適化方法を紹介する。
図4:CFRP積層最適化のPhase3
Phase3では、製造可能な積層を設計し、最終的な積層最適化を実施する。
技術コラム

Phase3の壁:終わらない「CAD/CAEの無限ループ」

詳細な積層設計段階に入ると、既存手法では「ツールの壁」という新たな問題に直面します。
例えば、CATIAのComposites Design等で積層を設計し、それをCAEモデルに反映して強度を検証。その結果を見て再びCADに戻って形状を修正し、またCAEへモデルを送り直す……。この「CADとCAEを行ったり来たりする無限ループ」は、設計者のリソースを激しく消耗させます。

また、汎用プリポストを使用する場合でも、CADで設計した積層情報をもとに膨大なPCOMPGをいちいち手作業で作成し、プロパティごとに最適化を設定、その結果をまたCADに手動で反映させるという、非常に非効率なプロセスを強いられます。

OptiAssistが実現する「シームレスな詳細設計」

OptiAssistは、この分断されたワークフローを一つに統合し、積層設計をツール内で完結させます。

① ツール内でのワンストップ設計:
OptiAssist内で製造可能なプライ設計を直接行い、そのまま最適化を実行。得られた最適化結果は「1クリック」でモデル全体に自動反映されます。
② 高度な製造要件も内包:
単なるプライ形状の指定に留まらず、繊維の追従性を確認する「ドレーピング解析」や、滑らかな段差を作る「板厚の徐変」といった高度な設定もパターンベースで簡単に処理できます。
③ CADとのシームレスな連携:
最終的な積層データをCADに戻す際も、.layup形式でのインポート/エクスポートに標準対応しているため、データ変換のストレスなく極めてスムーズに双方向の行き来が可能です。


【CFRP積層最適化の流れまとめ

この記事では、OptiAssistがなぜたくさんのCFRP設計者に支持されているかの一端を紹介しました。CFRP製品の最適化設計をしている方にしか伝わらないマニアックな記事となってしまいましたが、手作業で頑張って設計する必要はなく、すでにあるツールを使って簡単に設計しましょう。というお話でした。積層設計にかかる時間を短縮し、もっと大胆なアイデアの実現性を検証したり、周辺部品との関係性を配慮したりと、人間にしかできない部分に時間を割くことが大切です。

比較項目 OptiAssist
(専用ツール)
フリートポメトリー
(汎用最適化)
セルフビルド
(手作業設定)
設定にかかる時間 5分 30分以上 1時間以上
設定ミスのリスク
計算時間
(収束性)
30分 2時間以上
(変数が多すぎるため)
30分
(変数は少ない)
結果処理の難易度
(製造への落とし込み)
容易
(パッチ処理済)
困難
(板厚がバラバラ)
容易
(自分で決めたため)
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この記事の監修・執筆チーム

GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部

モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、本記事のようなCAE最適化設計を活かした設計を得意とし、製造要件(鋳造・鍛造・押出成形・板金・CFRP)を考慮した「造れる設計」を提案しています。

  • 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
  • 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析