
今回はCFRP製品の受託解析事例として、フィラメントワインディングを想定した積層定義を簡単に作成できるツールをご紹介します。このフィラメントワインディングモデル作成ツールは、弊社が販売しているGenesis向けOptiAssistにある機能で、作成したPCOMPGプロパティを.dat形式で出力できるため他のソルバーでも計算可能です。
フィラメントワインディング(FW:Filament winding)とは、炭素繊維(CF:Carbon Fibre)やガラス繊維(GF:Glass Fibre)をマンドレルに巻き付けて積層するFRP(繊維強化樹脂)の成形方法の一つです。
管状の部品や、圧力タンクなどの製造に使用されており、巻数や巻角度を比較的高い自由度で積層でき、管体を完全に連続した繊維で製作できることが特徴です。
Nastran等ではPCOMPGを使用してCFRPのCAE解析をするのが一般的ですが、PCOMPGはクロス材やUD材のプリプレグ積層体を想定しているため、フィラメントワインディングで製作した積層をモデル化するのは困難でした。理解しづらいと思うので早速画像で確認してみましょう。

こちらがフィラメントワインディングツールを使用して積層定義したPCOMPGです。定義した巻き角度によってPCOMPGの範囲が変化しています。-45/45°積層を詳しく見ると以下のようになっています。

一般的なPCOMPGで積層定義定義してしまうと、管全体が -45/45 or 45/-45 の積層になってしまいますが、フィラメントワインディングツールを使用することで -45/45の範囲と45/-45の範囲を分けて積層定義することができます。単純な一定巻き角度であればあまり大きな問題にはなりませんが、巻き角度を変化させてワインディングさせると以下のようになります。

フィラメントワインディングを再現したPCOMPGのモデルでは、色分けされている部分ごとに積層の定義が違い、8つの異なるプロパティになりました。(作成されるフィラメントワインディングプロパティ数は、テープ幅や巻き角度により変化します)
フィラメントワインディングツールでは、単純な一定断面のパイプだけでなく、異形断面のフィラメントワインディングや、曲げパイプにも対応可能です。(曲がっているパイプ形状は、脱芯後の曲げを想定しています)
↓ フィラメントワインディングで作成した異形断面のパイプ ↓

異形断面や曲げたもののフィラメントワインディングでは、狙いが45°のヘリカル巻きでもマンドレル形状によっては部分的に積層の角度が変わります。
下の画像は、フィラメントワインディングパイプを屈曲させた部分の積層の様子です。

フィラメントワインディングツールを使用して積層定義を作成すると、曲率に合わせて自動的にワインディング角度を計算するため、上図のように曲げ内側と外側で違うPCOMPGプロパティを作成します。
フィラメントワインディングを定義したPCOMPGモデルと、一般的なPCOMPGモデルのCAE解析結果を比較してみましょう。どちらも積層数(板厚)と積層角度は同じモデルで、カラーコンターは破壊指数を表します。


↑ 単純な積層とフィラメントワインディング積層の破壊指数比較 ↑
フィラメントワインディングを再現したCAE解析では、破壊指数が高い部分が層の切り替わり部分にあり、正しく評価できることがわかります。
このフィラメントワインディングツールで作成したモデルで、Nastran、Genesis、LS-Dynaで過去に評価していますが、いずれのモデルも実試験と十分な相関を得ることができました。もちろん、PCOMPGで作成しているためこのまま積層を最適化することができます。
今回は、フィラメントワインディングのような複雑な構成となる積層をモデル化するツールを紹介しました。CFRPやGFRPなどの複合材を解析する際にお困りのことがあれば何でもお気軽にお問い合わせください。
