ロボットアームのトポロジー最適化

今回の事例紹介では、過去に紹介したクローニング制約条件を使用してロボットアームをトポロジー最適化してみます。基本的には全て過去の紹介事例と同様の流れとなり、より製品形状に近いものになっています。

アーム自体はSolid要素で作成し、リンクはBAR要素で簡略化します。すべての関節はMPCにより回転フリーの状態で接合しました。

下図の色付き部品が最適化対象部品です。

姿勢違い同形状の3つのロボットアーム

クローニング制約では、腕が中間位置のものを「親」として最適化設定し、腕を畳んでいるものと伸ばしているものは「子」として取り扱います。
 親:中間位置のロボットアーム
 子:畳んだ位置と伸ばした位置のロボットアーム

荷重条件は、アーム先端に複数方向からの荷重を与えます。
発生する応力分布が異なるため、そのまま最適化を実行すると3姿勢それぞれで別形状の結果になってしまうことが予想されます。

クローニング制約を使用しなかった場合の最適化結果

上図はクローニング制約を使用せずにそれぞれの位置でトポロジー最適化した結果です。予想通り、全く違う結果になってしまうことがわかります。

次に、クローニング制約を使用した場合の最適化結果を見てみましょう。

ロボットアーム最適化結果。クローン条件あり。
クローニング制約を使用したロボットアーム最適化結果。

ロボットアームがいずれの姿勢でも同じ形状として結果が出力されました。3姿勢すべての条件に対して、もっとも剛性が高くなる形状になっています。

このように、クローニング制約を使用することで可動部品の最適化をすることができます。
クローニング制約を使用して設計する主な製品は、

  • ロボットアーム
  • クレーン等のブーム
  • サスペンションアーム
  • 共通使用となるブラケット類
  • 同パターン形状でデザインしたい連続構造体(柱など)

トポロジー最適化に限らず、CAEによる最適化では様々な制約条件を使用することができます。製品の使用実態に合わせた制約条件の設定が重要です。