CFRP製品の設計受託事例 - フレキシブルウィングの設計

F1のフロントウィング。画像はトレーニング用モデル。

今回はCFRP製品の設計受託事例として、Formula1などのレースで実際に行われている事例をご紹介します。CAEによる最適化を使用して開発しているフロントのフレキシブルウィングです。みなさんフレキシブルウィングというものをご存じでしょうか?

この事例ではCFRP製フレキシブルウィングの設計についてご紹介します。

走行風によるダウンフォースを受けると、ウィングが大きく倒れることで抵抗を低減かつ、グランドエフェクトを増大しダウンフォースを稼ぎながら最高速を上昇させる機能を持ちます。こちらのWebサイト(外部リンク)が詳しいです。

GRMではこのCFRP製フレキシブルウィング開発に深く関わってきました。Racecar Engineeringの記事(外部リンク)を見ていただければわかるように規制ギリギリの性能を狙っています。(GRMの名前が記事内に出ていますね)

CFRP製フレキシブルウィングを規制するためにFIAによる剛性試験がルールブックに載りました。ウィングの一部を特定の荷重で押した際の変位量を規制されています。

そこで考えられたのが、「FIAの剛性試験はパスできるが、走行風では大きくたわむ」という性能です。CFRPならではの解決策です。CFRPは異方性材料のため「A部への入力には強く / B部への入力には弱く」という制御をすることができる材料です。目標性能と最適化結果は以下のようになりました。

フロントウィングの開発目標値。CFRPの積層最適化により背反した条件を満足させる。

 

空力によって変形するCAE結果アニメーション

↑ CFRP製フレキシブルウィングのCAE解析結果 ↑

上記CAE結果のカラーコンターは破壊指数を表示しています。ウィングをたわませるためのクビレ部分に大きな範囲で1.0に近い破壊指数になっていることがわかります。

・剛性試験での変位:小(FIA基準クリア)

・走行風での変位:大(車両要求を満足)

複数の荷重条件に対してCFRPの積層を設計するのは設計変数が多すぎるため非常に大変(というか不可能)ですが、CAEによる最適化を使用すれば剛性や強度のコントロールが容易です。

下図は最適化前の初期設計状態と、最適化後計状態の変位比較です。最適化後モデルは大きく後傾することがわかります。

フロントウィングの強度を満足させながら風圧により大きく変形する様子を、最適化前後で比較した画像。

今回の事例では、GRMで行った実際の事例紹介をすることができました。(残念ながら日本国内での事例ではありませんが・・・)

CFRP積層設計のように設計変数が膨大であったり、相反しそうな条件設定など、机上計算では不可能な設計がCAE最適化によりスムーズに行える良い事例だと思います。

また、CFRPは軽量化だけでなく、剛性特性をコントロールできるというメリットが活かされた事例です。

GRMでは過去に様々な製品をCFRPに材料置換してきました。日本では、国内製造メーカーと協業して様々なプロジェクトに参画しています。CFRP製品開発にお困りの際はお気軽にお問い合わせください。

その解析課題、GRMが解決します。

本記事でご紹介した「高効率な積層最適化技術」「高度な積層設計」を、御社の製品開発に適用しませんか?
「現状のモデルを見てほしい」「テスト解析を依頼したい」など、技術的なご相談からでも大歓迎です。

詳細資料を請求 / 解析・設計の相談をする(無料)

※「記事を見た」と書いていただけるとスムーズです。
  ※技術のご相談は各事例モデルの解析担当者に対応させます。

この記事の監修・執筆チーム

GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部

モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、本記事のようなCAE最適化設計を活かしたCFRP製品設計を得意とし、性能目標の達成から軽量化まで様々な改善を手掛けています。

  • 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
  • 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析