今回の事例では、以前公開した非線形接触を使用したトポロジー最適化と同じことを、LS-TaSCを使用して実施してみました。普段の業務ではLS-TaSCは使っておらず、バージョンアップした際などにベンチマークしている程度なので、あまり良い設定で計算できていないかもしれません。
境界条件と入力条件は前回のGenesisによる最適化と同様とし、LS-Dynaの解析モデルを作成しました。材料の降伏点を超えるほどの荷重は与えていないため、前回の非線形接触を使用した解析結果と同じ変形量、変形モードになります。
今回は以下3つのアルゴリズムで計算したものを比較します。
- True Mechanics:エネルギー密度を考慮する(≒衝突や非線形モデル向け)
- SIMP(LS-TaSC):材料密度(剛性)を考慮する(≒線形静的モデル向け)
- SIMP(Genesis):前回の事例モデル
いずれのモデルもMF(マスフラクション)を0.2としていますが、LS-TaSCによる最適化結果はどうにもMF0.2に見えません。なお、Genesisの結果はほぼ正確に元の体積の20%になっています。
- True Mechanics
設定したMFよりも小さくなっています。圧子を受ける部分は他と同じ形状です。ImplicitソルバーよりもExplicitソルバーで真価を発揮しそうです。 - SIMP (LS-TaSC)
設定したMFよりも大きくなっています。(MF0.3くらいの体積)Genesisの結果と非常によく似た結果になります。MFの設定どおりの計算結果であれば、Genesisと同じ結果になりそうです。
以前から、LS-TaSCでは制約条件に対し過剰な結果が返ってくる傾向にあるようです。(ボンネット構造の最適化参照)
しかし、非線形接触が取り扱える最適化ソルバーは少ないため、LS-Dynaユーザーには使い勝手の良い最適化ソルバーと言えるかもしれません。
なお、計算時間はGenesisによる線形静的な最適化の5~10倍くらいかかります。
次回の事例紹介では、ちょっとイマイチな結果になったTrue Mechanics法を、上図のようなExplicit解析で実行してみます。