頭部傷害解析(HIC)③

今回の事例では、過去のボンネットのみで実施した歩行者保護性能のLS-DynaによるCAE解析を、ボディを使用して実施します。

歩行者保護_頭部傷害解析のモデル概要

上記のように、ボンネット中央、ボンネット横、フロントガラス中央の3か所にて実施します。モデルは変わらずCCSA様が配布している前突用モデルを使用し、HIC解析用ではないため実車と違う結果になることをご了承ください。(このCAEモデルには、ゴムストッパーやマスチックシーラー、カウルトップパネルがありません)
そのままのメッシュモデルではHICの解析に難があったため、メッシュモデルを一部改善しています。

条件はUN-R127に準拠しています。

早速結果を見てみましょう。

  • グラフ赤線:インパクター3軸合成加速度(CFC1000でフィルタリング)
  • グラフ青線:HIC値

ボンネット中央の歩行者頭部傷害値解析結果。ボンネットが大きく変形することで衝撃を吸収している。ボンネット横の歩行者頭部傷害値解析結果。ボンネットが大きく変形することで衝撃を吸収している。

フロントガラスの歩行者頭部傷害値解析結果。ガラスが大きく変形することで衝撃を吸収している。

いずれの結果でもHIC値は1000を超えることなく、十分に低い結果となっていました。また、ガラスはラミネートガラスが再現されており、中間フィルムの効果がよくわかる結果になって居います。(精度については不明です)インパクターの衝撃によりガラスが破壊される様子

弊社ではラミネートガラスの性能試験およびCAEモデルの同定(LS-Dyna用MATカードの作成)もしているため、ガラスのみ入替えたモデルの事例も今後紹介予定です。