本記事のトピック
- LS-TaSCを用いた非線形接触最適化の検証。True MechanicsとSIMPの2アルゴリズムを用い、Genesisの結果と比較検証を実施
- 最適化精度の傾向把握。LS-TaSCでは制約条件に対しMF(マスフラクション)が変動しやすい特性があり、設定時の留意点を解説
- 実務的な計算コストの提示。線形静的最適化と比較して5〜10倍の計算時間を要する等、非線形接触解析のリアルな運用負荷を網羅

今回の事例では、以前公開した非線形接触を使用したトポロジー最適化と同じことを、LS-TaSCを使用して実施してみました。普段の業務ではLS-TaSCは使っておらず、バージョンアップした際などにベンチマークしている程度なので、あまり良い設定で計算できていないかもしれません。
境界条件と入力条件は前回のGenesisによる最適化と同様とし、LS-Dynaの解析モデルを作成しました。材料の降伏点を超えるほどの荷重は与えていないため、前回の非線形接触を使用した解析結果と同じ変形量、変形モードになります。

今回は以下3つのアルゴリズムで計算したものを比較します。
- True Mechanics:エネルギー密度を考慮する(≒衝突や非線形モデル向け)
- SIMP(LS-TaSC):材料密度(剛性)を考慮する(≒線形静的モデル向け)
- SIMP(Genesis):前回の事例モデル

いずれのモデルもMF(マスフラクション)を0.2としていますが、LS-TaSCによる最適化結果はどうにもMF0.2に見えません。なお、Genesisの結果はほぼ正確に元の体積の20%になっています。
- True Mechanics
設定したMFよりも小さくなっています。圧子を受ける部分は他と同じ形状です。ImplicitソルバーよりもExplicitソルバーで真価を発揮しそうです。 - SIMP (LS-TaSC)
設定したMFよりも大きくなっています。(MF0.3くらいの体積)Genesisの結果と非常によく似た結果になります。MFの設定どおりの計算結果であれば、Genesisと同じ結果になりそうです。
以前から、LS-TaSCでは制約条件に対し過剰な結果が返ってくる傾向にあるようです。(ボンネット構造の最適化参照)
しかし、非線形接触が取り扱える最適化ソルバーは少ないため、LS-Dynaユーザーには使い勝手の良い最適化ソルバーと言えるかもしれません。
なお、計算時間はGenesisによる線形静的な最適化の5~10倍くらいかかります。

次回の事例紹介では、ちょっとイマイチな結果になったTrue Mechanics法を、上図のようなExplicit解析で実行してみます。
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この記事の監修・執筆チーム
GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部
モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、本記事のような高度な非線形解析を得意とし、製造要件(鋳造・鍛造・押出成形・板金・CFRP)を考慮した「造れる設計」を提案しています。
- 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
- 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析
