今回はLS-Dynaによる衝突解析受託事例として、過去のボンネットのみで実施した歩行者保護性能のLS-DynaによるCAE解析から、ボディ全体を使用して実施します。
本事例のトピック
- 歩行者保護性能評価(UN-R127等)に基づき、ボンネット単体ではなくボディ構造およびフロントガラスを含めたフル車両モデルを用いた、より現実に即した頭部傷害値(HIC)解析事例
- ボンネット中央・端部に加え、フロントガラス(合わせガラス)への頭部衝突シミュレーションを実施。LS-DYNAによりガラスの破壊挙動や中間膜(PVB等)による衝撃吸収効果を高精度に再現
- GRMでは、複雑な破壊モードを持つラミネートガラスの材料試験およびCAEモデル同定(MATカード作成)も受託しており、ガラス仕様の違いによるHIC感度解析など高度な検証が可能
頭部傷害値解析モデル作成
今回はボンネット2か所、ガラス1か所の合計3か所でチェックする。各種アセスメント評価では数十か所のチェックをすることになる。
上記のように、ボンネット中央、ボンネット横、フロントガラス中央の3か所にて実施します。モデルは変わらずCCSA様が配布している前突用モデルを使用し、HIC解析用ではないことに注意が必要です。(このCAEモデルには、ゴムストッパーやマスチックシーラー、カウルトップパネルがありません)
そのままのメッシュモデルではHICの解析に難があったため、メッシュモデルを一部改善しています。
条件はUN-R127に準拠しています。
早速結果を見てみましょう。
頭部傷害値CAE解析結果
- グラフ青線:HIC値
- グラフ赤線:インパクター3軸合成加速度(CFC1000でフィルタリング)
ボンネットが大きく変形することで衝撃を吸収している。HIC値は400程度ととても低い値で設計されている。
ボンネットが大きく変形することで衝撃を吸収している。こちらもHIC値は400程度ととても低い値で設計されている。
ガラスが大きく変形することで衝撃を吸収している。ドライバー視点では、頭部インパクターが本当に人だったらと想像すると・・・。
いずれの結果でもHIC値は1000を超えることなく、十分に低い結果となっていました。また、ガラスはラミネートガラスが再現されており、中間フィルムの効果がよくわかる結果になって居います。(前突モデルからの流用のため、精度については不明です。GRMで作成した正しいガラスモデルでの解析はこちらの事例をご覧ください。)
ガラスに衝撃による亀裂が入る様子。ラミネートガラスの中間膜により保持されている状態。
弊社ではラミネートガラスの性能試験およびCAEモデルの同定(LS-Dyna用MATカードの作成)もしているため、ガラスのみ入替えたモデルの事例も今後紹介予定です。
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※「記事を見た」と書いていただけるとスムーズです。
※技術のご相談は各事例モデルの解析担当者に対応させます。
この記事の監修・執筆チーム
GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部
モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、本記事のようなCAE最適化設計を活かした設計を得意とし、製造要件(鋳造・鍛造・押出成形・板金・CFRP)を考慮した「造れる設計」を提案しています。
- 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
- 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析
