LS-Dynaによるシートベルトアンカーの強度評価(ECE R14)

シートベルトアンカーの受託解析評価。ECE R14 CAE解析 LS-Dynaによる解析結果
ECE R14 CAE解析 LS-Dynaによる解析結果
法規やNCAPで評価される安全アセスメントのCAEによる高精度な性能予測結果。

本事例のトピック

  • 自動車の安全性能において重要となるシートベルトアンカレッジ(取付け装置)の強度試験(ECE R14等)を、LS-DYNAを用いた非線形衝突解析によりシミュレーション
  • 車体(Bピラー周辺)やアンカーボルトの材料非線形性(塑性変形)を考慮し、規定荷重入力時の応力分布や残留変形、破断リスクを高精度に予測
  • GRMはFIA(国際自動車連盟)の認定機関(GRM UK)であり、本解析手法を用いたレース車両のロールケージやシートベルトアンカーのホモロゲーション取得支援が可能
  • 乗用車に限らず、Lカテゴリーなど小型EVの安全評価も国内外で多数実施している

今回の受託解析事例は、ECE R14で規定されているシートベルトアンカレッジ強度試験をご紹介します。今回もCCSA様が無償配布している同定済みのMY2015 Camryモデル(の一部)を使用します。

前突試験モデルの一部を使用しているため、実車とは違う結果になっていることをご了承ください。

【シートベルトアンカレッジ評価(SBA)とは?】

技術解説:ECE R14(シートベルトアンカレッジ強度)

UN R14 (United Nations Regulation No.14) は、乗員保護装置であるシートベルトの取付部(アンカレッジ)の強度および位置に関する国際統一基準です。

主な試験条件(M1カテゴリー等の場合):

  • 入力荷重:ショルダブロックおよびラップブロックに対し、それぞれ13.5kN ±0.2kN(約1.3トン強)の引張荷重を負荷する。
  • 保持時間:規定荷重に到達した後、その荷重を0.2秒以上保持しなければならない。

合否判定基準とCAEの重要性:

本試験では、アンカレッジや車体構造の「永久変形(塑性変形)」は許容されますが、完全に分離・破断してはなりません。
つまり、設計においては「変形させずに耐える(剛性)」ことよりも、「変形しながらも粘り強くエネルギーを吸収し、破断を防ぐ(延性破壊)」ことの証明が重要となります。この挙動を正確に予測するためには、静的な線形解析ではなく、材料非線形性を考慮したLS-DYNA等の高度なシミュレーションが不可欠です。


【シートベルトアンカレッジ強度 CAE解析結果】

シートベルトに関わるデータは配布データに無く、シートベルトアンカー等は剛体要素で作成しています。ベルトのモデルは基本的な設定とし、1D+2Dのベルトを使用しています。肩とバックルの2か所はスリップリングとし、リトラクターとラップアウターは固定されています。

LS-Dynaによりシートベルトアンカレッジ試験_ECE R14_を再現したアニメーション。塑性変形が発生するが部材は破断せず、大荷重を十分に受け止められる構造になっている。
ECE R14 CAE解析アニメーション
塑性変形が発生するが部材は破断せず、大荷重を十分に受け止められる構造になっている。

こちらがLS-Dynaによる解析結果です。無事に最大荷重に耐えることができました。ECE R14に規定されている荷重どおりに入力しましたが、まだまだ余裕がありそうな結果になっています。

側面衝突に耐えるように設計されたBピラーは非常に堅牢で、座屈する兆候が全く見られません。万が一の際にしっかりと乗員を拘束することができる様子がこの解析から理解できます。

通常の開発では、塑性ひずみ・ボディブロック移動量・ベルト荷重など様々なチェック項目がありますがここでは割愛します。

FIAホモロゲーション取得サポート。GRM ConsultingはFIAの認証を受けているため、競技車両のホモロゲ取得を受託できます。
FIAの安全規定にかかわる実機評価とCAE結果
GRM Consulting(UK)はFIAの認定を受けているため、競技車両のホモロゲ取得用の算術証明が可能。

弊社では量産車だけでなく、レース車両の安全装置の解析も受託可能です。FIAから認定を受けているため、弊社に委託していただければFIAのホモロゲーションを取得することが可能です。FIAから認証を受けているのはGRM UKのため認証はUKオフィスに委託することになりますが、すでに日本国内で実績があります。

FIAのベルトアンカー強度評価、ロールバー強度評価などでホモロゲーション取得にお困りでしたらぜひお声がけください。


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この記事の監修・執筆チーム

GRM Consulting株式会社 解析エンジニアリング部

モータースポーツ最高峰のF1から量産車開発まで、20年以上にわたり構造設計・衝突・振動・流体解析に携わるスペシャリスト集団。 単なるシミュレーション結果の提示に留まらず、本記事のような安全に関わるアセスメント評価を得意とし、FIAのホモロゲーション認証も受託している。

  • 主要ツール:LS-DYNA, Abaqus, Genesis, Nastran, OptiAssist, Simcenter 3D
  • 専門領域:構造最適化、衝撃エネルギー吸収体最適化、CFRP複合材解析、衝突解析、CFD解析